バチを食っているシーバスは、ベイトフィッシュを補食している時とは違って、バイト後に反転しない。
その場で「モアッ」っと吸い込むようにバチを補食する。
故にアタリは非常に繊細なことが多く、バチ抜けパターンを狙うときはその繊細なバイトをとらえられるようなタックルセッティングで挑まなければ、釣果アップには繋がらない。
また、バチをイミテートしたルアーの多くは、細身かつ軽量であり、ルアーを自在ににキャスト&コントロールするためにも、タックルには「繊細さ」が求められる。
今回のバチ抜けシーバスを攻略するにあたり、PEラインは0.6号、リーダーは「プレミアムマックス」の2号を準備し、繊細なシーバスのバイトを確実にとらえるために、ルアーには細軸のフックをセットした。
細いPEラインは風や波の影響を最小限に抑えるとともに、ルアーのアクションを妨げず、圧倒的な「食わせ」の力を発揮するはずだ。
そして迎えた大潮の夜・・・。
仕事帰りに、地元河川にエントリー。
満潮は午後8時前。
ちょうどバチ抜けが本格化する時間帯に、下げはじめが重なる絶好の潮回り。
現場につくと、北西の風が強い。
水面が荒れているので心配したが、問題なくバチは抜けはじめたようだ。
時合い前の余計なキャストは、シーバスの警戒心を高め、スレを進行させるだけだ。
俺はゆっくりと準備をして「その時」を待った。
やがて・・・。
かすかに聞こえる「パシャ・・・」という音。
風と波の音にまぎれてしまいそうなほど小さな音だったが、俺はそれを聞き逃さなかった。
間違いない、ライズ音だ。
一瞬の風がやむ瞬間を逃さずに、音がした方向にルアーをキャストし、流れに同調させるように巻いてくる。
そして「その瞬間」は訪れた。
ロッドからかすかな違和感を感じた瞬間「ジーッ!!」と唐突にドラグが出ていく。
魚だ!!
違和感の正体がバイトなのかなんなのか判断がつかなかったので、とっさにフッキング動作を入れることができなかったが、刺さりの良い細軸のフックは、アワセをいれなくても魚のアタリをとらえていた。
念のために、一発追いアワセを入れる。
確実に乗った。
吹きすさぶ強風、波立つ水面という、およそバチ抜けを狙うにはふさわしくないタフなコンディションだったが、繊細なタックルセッティングが功を奏し、見事にバイトを引き出すことができた。
完璧に狙い通りだ。
だが、まだ予断はゆるさない。
ここはボトムに沈んだ流木やテトラがあり、気が抜けないポイント。
細糸を使っているから無理は禁物だが、モタモタしているとストラクチャーにラインを巻かれてブレイクしてしまう。
慎重に魚の頭の向きをコントロールしながら、オープンエリアに魚を誘導していく。
やがて・・・
何度かの締め込みの末に姿を現した「ヤツ」を見て、俺はつぶやいた。
「ボラやんwww」
おめーまぎらわしんだよ、クソが。いっちょ前に頭ふってんじゃねーよ。うっわ、ないわー。マジ最悪。ありえねー。んだよ、無駄にデケーよ。マジ最悪だよ。あータモ使いたくねー。くっせーんだよテメー。あーダリー。リーダー掴んで引きずりあげるか。・・・っちょ、今さら暴れんじゃねーよ。クッソ、リーダー掴めねー。あ、もーちょい・・・。ってか暴れんじゃねーって。ボケが。あークソ。もうちょいなのに。もうちょ・・・
「バキ!!」
あ・・・。
チャリランガン用コンパクトロッド殉職orz。
いや、だいぶ傷んでたんは事実やけど、最後の相手がボラとは・・・。
さようなら、DIVIDE SEABASS 805ML。
あ、釣果ですか?
金魚みたいなサイズの豆粒ドチビが1匹だけでした(泣)